眼の疾患

■ 1.どんなものが見えるのか ■
見えるものとしては、ほこり・糸くず・蚊・ハエ・ゴマ・煙・カエルの卵などが見えます。
また色も黒・灰色・透明なものまで様々で、数も1つから数個、時には沢山見えることもあります。
特に気がつくのが・・・
- 本を見ているとき。
- 白い壁を見ているとき。
- 青空を見ているとき。
これらは目の動きといっしょに動くので目の中に何かあるように思われます。
そしてけっこう気になるものです。
これを『飛蚊症(ひぶんしょう)』といいます。
■ 2.その原因 ■
『飛蚊症』は眼球の【硝子体】(しょうしたい)に濁りが起き、その影が網膜に映り、目の前に何かあるように見えます。
その濁りが網膜の近くにあるほど濃くはっきりと見えますし、その濁りの大きさや量で形が違って見えます。
『飛蚊症』の原因としては、(先天性のものを除き)ほとんどが老化による生理現象です。
40代になると【硝子体】の成分が変成し、【硝子体】の中に隙間が出来ます。
隙間といっても空気が入っているのではなく、液体がたまっていて、これを【離水】と呼びます。
また一方で、【硝子体】そのものは収縮しているためこれらの変化が濁りの原因にもなっています。
また、【硝子体】の収縮によってその裏側が【網膜】(もうまく)から剥がれていきます。
これを【硝子体剥離】といいます。
ただこれらは(老眼と同じく)正常な老化現象によるもので治療の方法もありませんし、治るものでもないので、煩わしくても慣れるしかありません。
そして気にしないことです。
そのうち慣れてくると気にならなくなります。
ただこれらが生理的なものか、後述するような病気によるものかの判断は自分でしないで、眼科で検査を受けておきましょう。 一度診察を受けておけば、安心できます。
■ 3.注意すること ■
『飛蚊症』自体は数が少なければ特に治療の必要もないのですが、急に数が増えたり、目に痛みを感じたり、見にくくなったりするときは注意が必要です。
『飛蚊症』が原因で視力が悪くなることはありません。
またよく老眼と関係があるように思われますが、発生の時期が同じなだけで直接の因果関係はありません。
また、近視の強い人は【網膜剥離】(もうまくはくり)を起こしやすいので、『飛蚊症』を感じたり、ひどくなっていくときには診察を受けることが必要です。
以下、注意するべき疾患について解説いたします。
■ 4.網膜裂孔(もうまくれっこう) ■
【硝子体】が収縮することで【硝子体】が【網膜】から剥がれることがありますが(前述:【硝子体剥離】)、この段階で網膜に穴が開いたり(【網膜裂孔】)、網膜が剥がれたり(【網膜剥離】)することがあります。
特に痛みを感じないのですが、放っておくと失明に至ることがあります。
治療法としては穴の開いたところをレーザー光線を当ててくっつけてしまいます。
■ 5.網膜剥離 ■
上記の理由から【網膜】そのものが引っぱられるように剥がれてしまいます。
【網膜】は光を感じ、その情報が集まって見えるようになるのですから、その剥がれた部分は見えなくなってしまいます。
自覚症状はあまりないのですが、時には稲妻のように光が走るように見えることもあります。 これは網膜が剥がれるときの刺激が光となって感じるもので、【光視症】といわれています。
■ 6.ぶどう膜炎 ■
【ぶどう膜】というのは、網膜の裏にある血管に富んだ膜で、ここに炎症が起こるのが【ぶどう膜炎】で、その結果、炎症性の物質(滲出物)や白血球が【硝子体】に入り込みそれが『飛蚊症』の原因になることがあります。
その場合は、数が急に増えたり、目の痛みや視力低下などを伴います。

■ 1.緑内障はどんな病気か ■
眼球は風船のように一定の圧力で保たれています。
この圧力が何らかの原因で高くなると、【視神経】が侵され視力の低下や【視野】(見える範囲)が狭くなっていきます。
希に、激しい眼の痛み、頭痛、吐き気などの症状が急激に現れることもありますが(【急性緑内障】)、大概は自覚されることなくゆっくりと進行していきます。
視神経が障害を受け、失った視力や視野はほとんどの場合戻ることはありません。
ですから最悪の場合、失明に至ることもあります。
40歳以上の場合、30人に一人という統計もあります。
またそのうち、正しい診断と治療を受けている人は20%しかいないという調査結果もあります。
この病気は一度かかったら治ることはありませんが、早期発見早期治療によってコントロールすることで、進行を遅らせることは出来ます。
■ 2.眼圧(がんあつ) ■
【眼圧】とは「眼の固さ」のことです。
前項で眼球は風船のように一定の圧力で保たれている、と書きましたが、実際にまぶたの上から触ってみると弾力があることがわかります。

眼の中では【房水】という液体が循環することによってこれを一定に保っています。
正常の眼圧値は、10〜20mmHgです。
つまり大気圧よりも上記値だけ高いことで眼球の形を保っているわけです。
この【房水】は主に【毛様体】というところで作られ、循環したあと、【角膜】と【虹彩】の境目(【前房隅角】)にある排水路から外に排出されます。
正常ならば、作られる【房水】の量と出ていく量は同じなのですが、何らかの原因でこのバランスが崩れてしまうと、【房水】が眼球内に滞ってしまい、結果【眼圧】が高まり、眼球を圧迫することになります。
この【房水】の出口はとても狭いのですが、流れが停滞する原因としては、
- 出口が狭くなったり、閉じてしまって流れ出なくなる。
- 出口は狭くなくても、機能の低下により流れ出なくなる。
どちらにしてもその原因はよくわかっていません。
だいたい眼科に限ったことではないけど、病気のほとんどは原因不明です。
確かに症状はあるが、なぜそうなったのかはわからないというケースが多いようです。
例えば割と気になるのが【白目】のところの出血ですが、これも原因は分かりません。
素人考えでは、出血しているのだから重篤な病因が潜んでいるのではと期待、いや心配するのですが、大概の場合は「気にしなくても良いよ」という説明で済んでしまいます。
そもそも眼とはかなりデリケートな組織でありながら直接外部に接しているので、いろいろな外因の影響を受けてしまうようです。 (外部から直接血管を見れるのは眼の【眼底】だけです)
■ 3.視 野 ■
【視野】とは、目を動かさないで見ることのできる範囲のことです。
【視野】は見るものの色、明るさ、大きさによって変わってきます。
片眼を隠して中心部を凝視すると外方(耳側)に【視野】のかけている部分があり、これを【マリオネット盲点】といいます。
【眼底】の【網膜】で集められた情報はやがて脳に送られるのですが、それを束ねて外部に出ていくその出口にあたる場所を【視神経乳頭】といい、その場所には網膜がないので見ることが出来ません。
ですから【視野】の検査で【盲点】でも見える、という人は目を動かしていることになります。
視神経はその数にもともと余裕があり、【緑内障】によって視神経が侵され、視野が欠けてきても本人はその異常に気がつくことはありません。
もともと両方の目で見ているので、【視野】が欠けてきても見えない方の目をもう片方の目が補っているので気がつかないのです。
もし【視野】が欠けていることに気がつくときにはかなり進行していることになり、そのまま放っておくと【視野】がどんどん狭くなり、やがては小さな節穴から覗いているようになり、ぶつかって歩けないとか、階段が下りられない、たばこの火が点けられない、横が見えないなどの日常生活でかなり不自由することになります。
■ 4.治療方法 ■
【緑内障】と診断された場合、大抵は目薬や内服薬を使って【房水】の産出と排出をコントロールして【眼圧】を下げます。
そして【眼圧】を下げることによって視神経への障碍をそれ以上進行させないようにします。
また前にも説明した通り、一度失った視力や【視野】は戻ることはありませんので、それ以降は定期検査をしながら管理していくことになります。
初期の場合は、【緑内障】と診断されても自覚症状がないのでコントロールし続けることには努力が必要ですが、【眼圧】が下がってもそれは一時的に下がっているだけですから、やめればまた悪化します。
レーザー光線を当てて小さな穴を空け、【房水】の通り道を作ってあげるような手術もあります。
■ 5.緑内障の薬 ■
症状と治療の方針によりその目的がいくつかに分けられます。
(主要なもの、というより自分が分かるものをいくつか紹介します)
・サンピロ(点眼薬)
縮瞳剤・・・瞳孔を縮小させます。 その結果房水の流れがよくなり、眼圧が下がります。
同効薬・・・ピロリナ、グラウマリン、ウブレチド
・ピバレフリン(点眼薬)
房水の産出を抑制して、房水の流出を促進します。
同効薬・・・エピスタ、サンエピ
・チモプトール(点眼液)
房水の産出が減少します。
同効薬・・・チモレート、チモロール、リズモン、ミケラン、ベントス
薬は同じ薬効でもメーカーによって薬名が違います。
■ 6.生活で気を付けること ■
そもそも原因がよくわかっていないのですから気を付けることといってもありませんが、【緑内障】が発症しやすい状態は、長い間暗いところにいたり、うつむいての長時間の仕事などや、あまり興奮したりすると誘発しやすいようです。
普段からイライラしたりストレスをため込まないことと、上半身特に首から上を圧迫しないことです。
また水分を一度に多量に飲むと眼圧が上がりやすいともいわれています。
なかでもコーヒーやお茶などのカフェインも多量に摂らないことです。

■ 1.水晶体 ■
外からの光は目に入るとまず【角膜】と涙の層で少しだけ曲げられます。
更にその奥の【水晶体】では大きく曲げられ、【網膜】の上に像を結びます。 それが視神経を刺激して、その情報が脳に送られ脳は光を感じ、ものを見ることが出来ます。
【水晶体】はその厚みを変えることによりいろいろな方向から入ってきた光をちょうど【網膜】の上にピントが合うように調節します。 だから【水晶体】はよくカメラのレンズに例えられますし、その役目もほとんど同じです。
【水晶体】が薄くなると遠くがよく見え、厚くなると近くが見えます。
年をとると充分にこの厚みを変えられなくなり、結果近くが見えにくくなります。
これが【老眼】と言われているものです。
■ 2.白内障の症状 ■
【白内障】は【水晶体】が混濁してくることから始まります。
【白内障】は40歳くらいから始まりますがその始まりはほとんど意識されることはありません。
充血とか目やにもないし、眼の痛みも感じません。
それは最初は周辺部から混濁してくるので、意識する頃にはかなり中心部までその混濁が広がってきていることになります。
その濁りの程度や場所によって見えにくさは違いますし、左右でも違いますが、視力が低下してきます。
目の前に薄いもやがかかったように感じるようになります。
たいていは老眼の始まりか視力が変わったのだろうと思いますが、眼鏡を作っても見え方は変わりません。
更に進んでくると、目の前に何かがちらついたり、ものがだぶって見えたり、光をまぶしく感じたりします。
更に進行すると視力はどんどん低下し、自分の手さえも見えなくなってしまいます。
ただ、実際に見えにくくなるのは早くても50歳くらいからで、生活に不自由になる程度までになるのは70歳くらいで1,000人に8人くらいの割合です。 (発生率だけでみると60歳代で70%)
【水晶体】が混濁してくると【水晶体】の厚みが増して屈折が変わります。
近くが見えるようになり、遠くが見えにくくなります。 近視が少し進み、老眼が少し軽くなったような感じになります。
■ 3.白内障の原因 ■
【白内障】は生理的な老化現象で、その原因についてはまだはっきりとは分かっていません。
髪の毛が白くなったり、歯が弱くなったりするのと同じです。
もちろんそれらに個人差があるように、白内障にも個人差があり、若い人にも発生することがありますが、【老人性白内障】といわれるくらいで、40代から始まります。(40代=老人、というのはどうも抵抗がありますが・・・)
【白内障】は誰にでもあるものですから、あらためて眼科で「白内障です」と言われたからといって、悲観するものでもありませんし、見えにくくなってから心配しても遅くはないし、その場合でも手術をすれば元通りになります。
【緑内障】で失われた視力は戻らないことを考えると、どちらが心配かはお分かりかと思います。
■ 4.白内障のくすり ■
【白内障】の薬はいくつかありますが、それでも進行を遅くする程度のもので、一度濁った水晶体を再び透明にすることは出来ません。 ただこの薬だけで一生終わってしまう人がほとんどで、次の手術までいくケースはそう多くはありません。
カタリン、カリユーニ、タチオン、ノイチオン、チオグルタン、
また、漢方薬が効果があるという報告もある。
一番有名なのは、『八味地黄丸(八味丸)』で初期の患者で目のかすみが取れたという報告もあり、知られた薬ですが、周りでの経験がないのでなぜ利くのかは不明。
■ 5.白内障の手術 ■
【白内障】の手術はその濁った水晶体を摘出します。
いつ手術をしたらいいかはその人の生活にも因ります。
要は、生活上困るようになったら、その時が手術をするときです。
例えば運転をする人は0.7の視力がないと困りますが、普通の人は0.3や0.1でも困らないで何とかやっている人もいます。
水晶体は光の入り口ですから、それが濁るということは、磨りガラスで景色を見ているようなものです。 その磨りガラスを透明なガラスに変えてあげるのが【白内障】の手術です。
濁った【水晶体】を摘出したあとはその度数に見合った眼鏡、コンタクトを使いますが、最近は直接【白内障】のあった場所にレンズを埋め込みます。
それが【眼内レンズ】です。
【眼内レンズ】は直径6mm程度の小さなレンズで、中で固定するようにバネのような細いひもが2本ついています。
素材はハードコンタクトレンズと同じアクリル製です。
手術そのものは全部で1時間くらいの簡単なもので、最近は入院しなくても日帰りでもできるようになりました。
ただ【白内障】の手術をして【水晶体】を変えたからといって実際に見るのはもっと目の奥のことですから、いくら透明な光が入ってくるからといっても目の奥に見るだけの力が残っていないと見ることは出来ません。
ですから【白内障】の手術をしても若い頃のような視力を必ず取り戻せるというものでもありませ

■ 1.高血圧とは ■
血管には動脈と静脈があります。
動脈は血液を運び、静脈は血液を運び去ります。 その過程で、血液中の酸素や栄養分が組織に受け渡され、その老廃物を受け取ります。
血液は体のすみずみまで行き渡っていますが、そこに流れる血液の量を調節しているのが細動脈と呼ばれるものです。
この細動脈が何らかの事情で細くなると血液の流れに対して抵抗が生まれます。
この抵抗に打ち勝つために、心臓は血液の安定供給を目指して強く収縮し、その結果、血管内の圧力が高まります。
それが血圧が高くなる仕組みです。
この細動脈の収縮の様子、そしてその結果血管が堅くなっていないかを調べることが重要になります。
そして人間の目(眼底)では、直接その様子を観察することが出来ます。
■ 2.高血圧と目 ■
高血圧のため、細動脈が細くなり、また堅くなってくるといくつかの異常が現れます。
血管が細くなったために循環障害が起きて、出血やむくみが現れます。
血管が細く弱くなるために血管の壁から栄養分が漏れだして溜まったりします。
動脈と静脈が交差するところでは、硬化した動脈が下の静脈を圧迫し、その部分にくびれが出来ます。
そうすると血流が滞り、血栓ができ、出血を起こします。(【網膜静脈閉塞症】)
網膜の静脈が閉塞すると、その辺りの循環が悪くなり、酸素不足になったところへ臨時に新しい血管が生まれてそれを補おうとします。 その血管を【新生血管】といいます。
この血管は便宜上作られるもので、とってももろく出血しやすくなります。
また増殖しやすい性格があります。
また新しい血管を支えるための土台作りも始まるのですが、この土台作りの過程で、組織が引っぱられてそこが剥がれて【網膜剥離】を起こしたります。
■ 3.治療方法 ■
【網膜静脈閉塞症】に対しては、血栓を溶かす薬や血液が固まりにくくなるような薬を使います。
また血管を広げて血液の循環をよくします。
出血やむくみが網膜の中心にかかると視力が低下します。
その部分にレーザー光線を当てることにより吸収しやすくしたり、それ以上に【新生血管】が伸びないように焼き固めてしまいます。

■ 1.糖尿病と失明 ■
現代でも失明する人は多くいます。
そしてその失明原因の第一位が『糖尿病』です。(それは全体の5分の一にもあたります)
また、40歳以上の成人の約1割が糖尿病だと言われています。
もちろん糖尿病の方が全て失明の道を辿るわけでもありません。
ただ、全体の2割ぐらいの患者に将来その危険がある、とは言われています。
糖尿病は治る病気ではありませんが、コントロールできる病気です。 そして目への影響も早期発見、定期検査、早期治療によって深刻な事態になるのを防ぐことは出来るのです。
■ 2.眼底検査 ■
人間の【眼底】(網膜)は外部から直接血管を見ることの出来る唯一の場所です。
検眼鏡という器具を使って瞳孔を通して覗くのですが、詳しく検査をする時や眼底写真を撮る時は目薬を使って瞳孔を開きます。(散瞳) そうすることにより、カメラの絞りを解放したような状態になります。
この散瞳をするとピントが合わなくなり、近くが見えにくくなったり、光の入る量を調節できないので眩しかったり、周囲がきらきらと光って見えるようになります。
でもその効果は短く、4時間くらいでもとに戻ります。
私も試しに夕方その目薬をさした時は、帰りの電車の中で本が読めなくなって、ちょうど老眼になったみたいで不自由でした。(今は老眼ですが)
余談ですが、子どもにも同じ目薬をさすことがありますが、その場合は目的が違います。
屈折検査をするのに、子どもの場合どうしても調節が入ってしまい正確な値が取れないので、その調節を休ませるために使用します。
だから親子で眼科へ行って親子で同じ目薬をさされても、親の場合は眼底検査で、子どもの場合は屈折検査を行うためのものです。
右上の写真が【眼底】の写真です。
■ 3.糖尿病と目 ■
【糖尿病】は糖の代謝障害により血液中の血糖値が高くなります。
その影響は全身の血管に現れ、それは目の血管でも例外ではありません。
外から入ってきた光は、【網膜】→【水晶体】→【硝子体】と通過して【網膜】に達します。
【網膜】はカメラのフィルムにあたる部分で、ここに結ばれた像の情報が脳へと送られてものを見ることが出来ます。
そして【網膜】は他の組織と同じく血管に富んだ組織です。
血管には動脈と静脈があり、動脈は酸素や栄養分を組織に与え、静脈はその結果の老廃物を運びます。
【糖尿病】になるとその血管がもろくなったり、詰まったりします。 血管のあちこちが詰まって瘤のようなものが出来たり、血管がつぶされたり、弱くなった血管の壁から血液の成分が漏れてきます。
そしてこれらはゆっくりと進行し、自覚されることはありません。
視力への影響はないし、痛みも感じません。
そしてそれらが異常として自覚される時には症状がかなり進行していることになります。
■ 4.糖尿病性網膜症 ■
先に説明した通り、失明原因の第一位が【糖尿病】で、その原因となるのがこの【糖尿病性網膜症】です。
この病気は、【網膜】の細い血管が【糖尿病】により障害を起こす病気です。
初めは小さな点状の出血や少し大きめの斑状の出血、血管が膨らんでできる血管瘤、血液の組織が血管からしみ出して【網膜】がふやけたようになる浮腫などが起こります。
この段階では、視力には全く影響がないし、(まれに【網膜】の中心部にむくみがかかると視力障害を起こすことがあります)血糖をコントロールしていると自然に消えてしまうこともあります。
またこの時期はゆっくりと進行していき、普通は10年以上はかかります。
そうやってゆっくりと進行していくうちに【新生血管】が出てくることがあります。
血管が詰まると、組織が酸素不足になります。 これを補おうと他から血管が伸びてきます。 これが【新生血管】と呼ばれるもので、この血管は便宜上作られるもので、とってももろく出血しやすくなります。
また増殖しやすい性格があります。
また新しい血管を支えるための土台作りも始まるのですが、この土台作りの過程で、組織が引っぱられてそこが剥がれて【網膜剥離】を起こしたります。
出血は【硝子体】の中に入り込みピンクのカーテンを引いたように見えることもあります。
そしてそこで初めて自覚することになるのですが、痛みはありませんし、その前段階である【新生血管】が発生し、増殖している段階ではまだ自覚症状はありません。
この辺りになると眼底はさながら戦場のように変わり果て、またこの頃の進行は早く、この段階で治療しておかないと2〜6年で失明してしまいます。
■ 5.治療方法 ■
治療方法としてはレーザー光線を使います。
レーザー光線を使うと火傷をします。
ただ非常に狭い範囲に照射するため、それにより【新生血管】が出てくるのを防いだり、出来てしまった【新生血管】を焼却したりして出血するのを防ぎます。(レーザー光凝固)
このレーザー治療も早い時期ならばかなり高い確率で有効ですが、遅れれば遅れるほどその有効率は低下します。
また手遅れの状態で出血したり【網膜剥離】を起こしてしまったときは手術を行います。
外部から直接細い器具を入れて出血した血液を取り除き再び光が入るようにする一方、剥離した網膜を元に戻してレーザーで焼き固めます。
ただこれらは例え成功したとしても、一度落ちた視力を取り戻すことは出来ません。
■ 6.それ以外の病気 ■
糖尿病のある方は普通よりも早めに【白内障】が出てきます。
体内の糖分が増え、それが【水晶体】にも蓄積することがあります。
ですから場合によっては40代に手術を受けることもあります。 ただ、【白内障】の項目でも説明してありますが、手術後は【眼内レンズ】を入れるのが普通ですが、【糖尿病性網膜症】を併発していると、あとでレーザー光線を当てる可能性があるため【眼内レンズ】を入れずにコンタクトレンズや眼鏡で済ますこともあります。
一方、糖尿病で血管がつぶれると【新生血管】が現れると説明しましたが、それは眼底には限らず目全体に起こりうることです。
【虹彩】や【毛様体】に【新生血管】が発生すると【房水】の出口を塞いでしまい、結果眼圧が上がり、【緑内障】と同じ状態になります。 この場合、普通の【緑内障】と違い薬では眼圧を下げることが出来ずに手術をすることになります。
■ 7.その予防 ■
眼底検査では血管の状態が手に取るように分かります。
糖尿病のコントロールと定期的に眼底検査を行い、必要ならば早期の治療を行うことにより最悪の状態になることは防げます。
自覚症状がないため手遅れになりやすい場合が多く、糖尿病がありながら眼科へ来ることすらしない方がほとんどです。
自覚症状がなくても、異常がないといわれても、1年に1度の定期検査は必要です。
目をカメラにたとえると網膜はフィルムに相当します。網膜はほぼ透明な複雑な構造をした神経組織です。目の組織の中でも最も大事な、ほとんど脳と同じものと考えてよいでしょう。
実際、受精後5週間目の、体長わずか10mmの赤ちゃんで、すでに脳と一緒に網膜ができはじめます。ひとの網膜は切除したら再生することはなく、水晶体のように人工的なものと交換することもできません。角膜のように他の人のものを移植することもできません。
網膜に映った映像は最も外側にある視細胞で認識し、神経線維に伝わり、神経線維の集まった視神経を通って大脳に送られます。視細胞は小さな細長い細胞で、色素上皮細胞というさらに外側にある細胞の突起の間に突き刺さるようにかみ合って栄養をうけています。
視細胞と色素上皮細胞は、皮膚とその下の組織のように強く癒着してはいません。お互いをくっつけている生理的な力がこわれたり、これより強い力で網膜が引っ張られると剥(は)がれてしまいます。視細胞は人では黄斑部(おうはんぶ)という直径1mmほどの部分に特に集中して存在しています。ひとの視力は黄班部が担っており、黄斑部が病気でおかされると視力は著しく低下してしまいます。
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近頃、ドライアイという言葉をよく見たり聞いたりすることが多いと思います。ドライアイを一口で言えば乾いた目ということになります。しかし、どういう目をドライアイと言うか、またどのような原因で起こるのかということになりますと、よく知らない人が多いようです。
かなり前からドライアイはあったのですが、あまり関心がありませんでした。
ところが、近年コンピューターやテレビゲームなどのOA機器が普及しますと、画面を長時間見る機会が多くなり目の疲れを訴える人が多くなりました。その人たちを眼科医が検査しますとドライアイの人が大変多いことが分かりました。その他、長時間にわたって字や物などを凝視する人たちに多くみられます。
ドライアイについて大変に分かりやすく書いてありますので、ぜひ読まれることをおすすめします。
ドライアイとは わたしたちの周りの様子を映像としてとらえる点で、目はよくカメラにたとえられます。レンズとフィルムが存在することは共通ですが、そのほかのアクセサリーがいささか違っています。
ヒトの目にはまぶたと涙が存在します。まぶたによるまばたきは、黒目(角膜)や白目(結膜)の表面に涙を均一に分布させゴミなどを流し去る働きをもっています。
まさに、車のワイパーがフロントガラスの汚れを取り去る様子によく似ています。この時に、適量のウインドウォッシャー液がなかったらどうでしょうか?
おそらく、かえってフロントガラスが汚れたり、傷ついたりして見にくくなるでしょう。このウインドウォッシャー液の働きをしているのが涙です。
また、涙には外から入ってくるばい菌をやっつける働きや黒目(角膜)に栄養を運ぶ働きがあります。
ドライアイは、いろいろな原因によって涙の量が少なくなったり、本来もっている涙の働きが悪くなったりすることによって、目の表面に傷ができてしまう病気です。
その結果、目が痛くなったり、疲れたり、まばたきがふえたり、白目が充血したりすることになります。
ドライアイの原因 ドライアイは、さまざまな原因によって起こります。しかしながら、中には原因が分からない場合もあります。
ヒトは誰でも歳をとっていきます。歳を重ねるごとに、しわが増え皮膚が乾いてくるように涙も少しずつ減っていきます。幸いなことに、涙の流れだす量もバランスよく減っていくので普通は問題にならないことが多いのです。しかしながら、そのバランスが崩れてしまうとドライアイになることがあります。
全身の病気の一症状としてドライアイを起こしてくることがあります。
その代表的なものとして、シェーグレン症候群という病気があります。これは、涙を分泌している涙腺が徐々に破壊されて涙の分泌量が減少する病気です。また、涙腺だけでなく唾液腺(だえきせん)(つばがつくられるところ)も破壊されるので唾液(つば)の分泌が低下し、パンなどを食べるときに水分が必要になることもあります。
そのほか、慢性関節リウマチや膠原病(こうげんびょう)に合併してくることもあります。また、糖尿病もドライアイを引き起こす病気の一つです。
精神安定剤やその他のさまざまな薬によっても涙の量が減ることがあります。また、目薬の種類や点眼回数によってドライアイが起こることもあります。
新しい薬をのみはじめたり新しい目薬をさしはじめてから、目が乾く・疲れるなどの症状がでたときには、一度主治医の先生に相談してみることも必要でしょう。
ドライアイの症状は、同じ程度の状態でも人によって感じ方はさまざまです。
代表的なものとしては、目の乾き・ごろごろした感じ・熱い感じ・充血・目の疲れなどがあります。また、夕方になると充血がひどくなったり、まばたきが増える人もいます。冬場の暖房により症状が悪化したりしますが、湿度の高い梅雨の時期や入浴すると調子がよくなります。これらがドライアイの特徴です。
ドライアイの診断は、どのようにして行われているのでしようか。
まずは、涙の量が正常かどうかをみるために、涙の分泌量を測定します。(シルマーテスト、綿糸法) それと同時に黒目(角膜)や白目(結膜)の表面に傷がないかどうか、さらに涙が目の表面をきれいに覆っているかを顕微鏡を使って検査を行います。そのほかにも血液検査などをする場合もあります。
ドライアイの治療 治療は、症状や状態によって一人一人異なります。
一般的に、軽いドライアイの場合は、少なくなった涙を補充する目的で人工涙液とよばれる涙とよく似た成分の目薬を必要に応じて使います。
この場合も、さまざまな種類の人工涙液があり本人にもっとも合ったものを探していく必要があります。また、乾燥感が強く点眼回数が増える場合には、防腐剤の入っていない点眼薬を選択するなどの工夫も必要です。
さらに、黒目(角膜)や白目(結膜)の表面に傷があり、まばたきをすると異和感・痛みがあるといった場合には、潤滑剤として眼軟膏(なんこう)をいっしょに使う場合もあります。
そのような治療をしても効果のない重症のドライアイの場合には、少しでも残っている本人の涙を少しでも長い時間、目の表面にとどめておくために涙の排水口を閉じてしまう治療をします。
その他の治療法として、涙の乾きを抑えるために特別に開発された眼鏡をかけるという方法もあります。
● コンドロイチンは、目薬や化粧などに幅広く使われています。その作用は水分の保有力が強く角膜に多く存在します。 組織の損傷の修復作用もありますので、ドライアイにはコンドロイチンの内服を、私は勧めています。
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