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講演会からの報告

 高輪メディカル クリニック院長 久保明先生
今や国民病になった糖尿病 店頭指導のポイント すでに患者数が690万人とも700万人とも推定される糖尿病 は増加の一途を辿り、「国民病」とも言われています。しかし、実 際に治療を受けている患者はその1/3に過ぎません。後はだだ 恐ろしい含併症を待っているだけでしょうか?。そうした人達に光 明を与える『カイアクロン』の新発売の時期と重なったエリア大会 では、臨床医として日々糖尿病の治療にあたっている東京・高輪メ ディカルクリニック院長の久保明先生をお招きし、糖尿病治療に 関する最新情報と店頭指導での留意点をお聞きしました。以下では、 その講演要旨をお伝えします。

126r/dl以上が糖尿病?
いま糖尿病診断基準の改定作業が 進められている。現在は、空腹時の 血糖値が「140r/dl 以上」か、 食後(あるいはブドウ糖負荷後,2時問の血糖値が「200r/dl 以上」 のどちらかであれば「糖尿病」と診 断される。だが、近く米国の診断基 準のように空腹時の血糖値が「126r/dl 以上」を糖尿病とし、「110〜125r/dl」を空腹時高血糖 (IFD)に改められる。すると、従 来は境界型に入っていた人の多くが 「糖尿病」と診断される場合が出てく るだろう。 現在、690〜700万人といわ れる糖尿病患者は1千万人を超えて しまう可能性もあり、「医師が患者を 増やした」という指摘も出るのでは ないだろうか。 しかし、私のクリニックでこんな 例があった。ある五十代の男性の空 腹時血糖値を測ってみると九八r/dl なのに(空腹時のインスリン量を測 っても2.5に過ぎない)、75gの ブドウ糖負荷試験をすると、血糖値 は一時聞で271r/dl 、2時間で は309.r/dl になった。この男性 は一般的な空腹時の血糖検査で糖尿 病を見過ごされでいたのである。米 国の診断基準が「126r/dl 以上」 とされたのは、食後2時問の血糖値 が200r/dl 以上の患者を集めて 空腹時の血糖値を調べたところ、多 くが120〜130r/dl の間であ った。これまで「140r/dl 以上」 としていたことで、多数の〃隠れ糖 尿病"を見過ごしていたのではない か。そんなことも今回の改定が行わ れる理由になっている。
画期的な疫学的調査結果
糖尿病は血糖をコントロールする ことで合併症を防ぐが、実は血糖の コントロールによる合併症の疫学的 な調査は皆無であった。九八年、英 国で「UKPDS」という糖尿病の コントロiルに関する画期的な研究 報告が行なわれた。タイプTは報告 があったが、これまでタイプUの追 跡調査ができなかったのは、患者の 病態に個人差が大きいことや合併症 も多く、統一できなかったからであ る。五千名を対象とした同研究では、 血糖を下げてヘモグロビンA1cを 7%位に保つ一方、平行して血圧を コントロールしたことで合併症が24%も低下したという。皆さんが、 糖尿病患者に「血圧が高くありませんか?」と聞いて、血圧を下げる健 康食品を勧めるのも合併症を防ぐ意味では理に適ったものといえる。

間違った話はやめよう
糖尿病にはタイプT(インスリン 依存型糖尿病)とタイプU(インス リン非依存型糖尿病)がある。特に 糖尿病の97%を占めるタイブUは、 インスリン分泌障害とインスリン作 用障害によるものだが、皆さんが話をする時に「インスリンが出ない」 「出なくなったら大変というような "問違った話"をしてほしくはない。 タイプUの糖尿病は、インスリンの 出方や効きめ(抵抗性)が関係する もので、「出る」「出ない」の問題で はない。また、糖尿病の成因も、こ れまでは「遺伝と関係がある」とか 「体質的な問題がある」と言われてき たが、あまり遺伝などにとらわれる必要はないだろう。 日本人に多いタイプUの糖尿病は 多因子遺伝で、インスリン、インス リン受容体、HNFなどの単因子遺伝は僅か一%に過ぎない。ただ、最近、単因子遺伝のなかで「ミトコン ドリアの異常」が注目を集めているが、これはインスリンを分泌する膵 β細胞のミトコンドリアの機能低下 が糖尿病の原因になると推定されて いる。母系遺伝で生まれつき難聴を 伴うことが多く(日本人の糖尿病の 100人に2〜3人といわれる)、皆 さんも「聞こえにくい」という訴え でおかしいと思い、糖尿病を発見す る可能性もあるのではないか。

肥満治療に〃夢の新薬"
糖尿病の大きなリスクファクターである肥満治療では現在、β3-アド レナリン受容体が大きな語題になっ ている。人問の脂肪には白色脂肪と 褐色脂肪があるが、体内のβ3-アド レナリン受容体が交感神経に働きか けると白色脂肪が溶けて、褐色脂肪 がエネルギーとして消費する働きが あることがわかった。肥満者のうち 10〜25%が生まれつきβ3-アド レナリン受容体に異常があるとされ、 正常な人よりも一日に200キロカ ロリーのエネルギー消費が劣るため に脂肪が蓄積しやすいのである。 また、以前〃夢の肥満治療薬"と 騒がれたレプチンもすでに海外で医薬品として開発されている。レプチ ンは、食欲中枢に働きかけて、「もう 食べるな」というサインを脳に送る 信号のような物質である。糖尿病患 者の3〜4割は肥満が伴うとされて いるだけに、今後の研究成果が待た れるところである。

1週間で500Kcalの消費を
さて、糖尿病治療は食事療法、運動療法から入り、血糖コントロール ができなければ薬物療法、インスリ ン療法へと移行する。運動療法は脂肪を消費させ、インスリン抵抗性を 改善する意味からも重要だ。ただし、ハードな運動は心筋榎塞を招くなど アクシデントが多い。だから運動療 法は「体によいレベル」を設定しな ければならない。 例えば、東京オリンピックに出場 したトツプアスリートを追跡調査し たところ、痛風に罹患しているかつ ての選手が13%もいた。プロのアスリートも決して健康な生活を送っ ているわけではない。糖尿病治療の 観点から運動を考えると、一週間で 500キロカロリーを運動で消費す ればよい。一般に体脂肪を燃やすに は連続して20分以上の運動が必要 だが、糖尿病はブドウ糖を燃やして も効果があるのだから10分でもよ い。ジョギング、水中歩行など無理 のないカリキュラムを組めばよい。 リスポーターという言葉がある。 つまり生活習慣を変えるということ。 食塩を減らして血圧が10〜20下 がる、摂取カロリーを減らして体重 を数%落とす、その組み合わせで症状をコントロールしていく発想であ る。私のクリニックに来たある患者 は血糖値が200r/dl を超え、タ ンパク尿も出ているのに「薬は懲り 懲りだ」という。聞けば、別の病院 で血糖を調べ、すぐに薬物療法に入 ったようだ。患者は「糖尿病」と聞 いてびづくりし、食事や運動に気を 遣ったので薬が効き過ぎ、低血糖を 起こしたらしい。専門医はまず食事 療法、運動療法を試み、リスポータ ーの結果をみて薬物療法に移行する。 患者は@糖尿病の宣告A食事療法か ら薬物療法への移行B合併症の発症  の三段階でそれぞれショツクを 受ける。患者のストレス除去を十分 配慮する必要があろう。
ベモダロビンA1cに注目

カイアクロンは私も食事療法の一 環として使用している。ある患者は 三カ月の服用でヘモグロビンA1c が9から8.1に下がった。私がカイ ァクロンを信用した理由は、トリグ リタゾンと同様の実験をはじめ、 様々な実験データを持っているとこ ろにある。時として血糖値が100 r/dl 下がったなどという他の商品 もあるが、日内変動の激しい血糖値 は測定のタイミングがあるので専門 家のデータでなければ信用しにくい。 その点、カイアクロンは血中イン スリン量も上がらず、低抗性改善薬 と同じような作用を持ち、また、低 血糖を起こしたという報告もなく、 肝機能検査でも異常はみられないの で安全性も高いのである。なお、カ イアクロンのような健康食品を勧め る注意点として@期問限定(効果の ないケースもある)A血糖値などデ ータを追跡するB主治医に使用を知 らせるを守ってほしい。