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いたちごっこ続くウイルス変異と新薬開発

ウイルスの脅威
ウイルスが、変化している
感染経路の変化
鳥インフルエンザが世界経済を圧迫
効果に問題あり!インフルエンザワクチン

ウイルス病態、確実な把握を

国の政策決定では、どの専門家の意見を聞くかで、担当大臣が英雄になったり無能者に見えたりする。

1976年の米犬統領選で現職のフォードが無名のカーターに負けたのは「スペイン風邪に似た危険なウイルスだ」との助言を採用し、実際には病原性が低い豚インフルエンザに過剰な対応をして信用を失ったのも一因とされる。

急いで作らせたワグチンの副作用で若者らが神経難病の「ギラン・バレー症候群」を発症。私は経緯をCDC(米国疾病管理予防センター)があるアトランタで見ていた。

交通機関が発達した現代、ウイルスの日本上陸を防ぐには国境閉鎖以外ない。だが、世界保健機関(WHO)は、鳥インフルエンザウイルス「H5N1」が人から人へ感染する事態を想定して設けた警戒レベルを、今回の新型インフルエンザ出現で「フェイズ5」に引き上げた段階で、そんな必要はないと言った。

それでも日本政府は「水際でウイルスを食い止めて国民を守る」と、検疫官に字宙人のような格好をさせ、国際線の航空機に乗り込ませた。それは、自国の卓越した医療レベルを無視しているように見え、アメリカの専門医も全く意味がないと笑っていた。

テレビニュースは、外を歩く人々が皆マスクをしている姿を映すのだが、満員の大相撲国技館の客席にマスク姿はほとんどなかった。

ウイルスの性質によって複数の対応プログラムを用意する発想がなかったのか。疫学のプロたちが、ウイルスがどんなルートで感染し、それが細胞に入り込むと人体にどのような病原性を持つか、などのウイルスの病態生理を十分理解していなかったとは思えない。それとも別の力学が働いたのか。

国内感染者は既に1000人を超えた。手洗いとうがいの習慣がついた人が増えたのはいいことだ。低病原性ウイルスに対しては、自然に感染し抗体を得るのが一番。拙速に製造したワクチンの副作用の方が怖い。

インフルエンザに限らず、将来の高病原性ウイルスの流行に備え、分子レベルでの基礎研究を充実させ、抗原性や病原性の変異など、ウイルスの存在動態の確実な把握が欠かせない。この知識は必ず、より有効なワクチンの製造に役立つはずだ。

武井義男氏(米国在住意思)

いたちごっこ続くウイルス変異と新薬開発

鳥インフルェンザウイルスがヒトに感染することが確認されたのは1997年のことだ。このウイルスは強毒性のH5N1型で、ヒトに感染すると致死率は極めて高くなる。現在でもインドネシアなどで感染は続いているが、幸いにもヒトからヒトヘ感染するようには変異していない。

今回、世界を騒がせたインフルエンザウイルスは、メキシコの豚のなかのウイルスがヒトからヒトに感染しやすく変異したものだ。しかし、このH1N1型ウイルスは季節性のインフルエシザと同程度の弱毒性のものだった。

インフルエンザウイルスはウイルス殻の表面にHANAという二種類の突起を持っており、突起の種類でH5N1型とかH1N1型に分類されることを前回解説した。

現在、HA16種類、NA9種類存在する、その組み合わせだけで、インフルエンザウイルスは144種類の型に分けられることになる。しかも、同じ型のウイルスでもHANAを構成するアミノ酸に変異が生じる。

感染予防のワクチンや増殖を阻害する薬剤の効果は、このHANAが新たな変異を起こした場合には効果がなく

なる可能性が出てくる。

今回の新型インフルエンザはAソ連型と同じH1N1型だが、従来のワクチンは効果がなかった。強毒性の鳥インフルエンザウイルスH5N1型では、インフルエンザ治療薬のタミフルが効かない耐性ウイルスも出現しているといわれる。ウイルス変異とワクチンや新薬開発のいたちごっこに終止符を打てない。

最近、インフルエンザウイルスが体内で増殖する際に中心的な役割を担っているたんばく質であるRNA(リポ核酸)ポリメラーゼの立体構造を横浜市立大学と筑波大学の研究グループが解明した。このRNAポリメラーゼはウイルスが変異してもほとんど変わらない。その働きを阻害する薬が実現すれば、どのタイブのインフルエンザに対しても効果が期待できるはずだ。「万能型インフルエンザ治療薬」の開発につながる研究として評価されている。

(人間総合科学大学教授 藤田紘一郎)


ウイルスの脅威


感染すると命取りになりかねない病原体が日本に上陸するリスクが高まっている。新型インフルエンザばかりではない。米国で流行している西ナイル熱、熱帯病のデング熱など様々な感染症がいつ上陸してもおかしくない状況にあると専門家は説明する。だが、政府の危機意識は薄く、対策は進んでいない。迎え撃つには何が必要か。課題を探った。

「日本は大丈夫か」。新型インフルエンザの治療に有効とされる抗ウイルス薬「タミフル」を製造するスイス大手ロシュグループの担当者は、欧米各国に比べ、日本政府の反応の鈍さを感じた。
今夏、新型出現のリスクが高まると、各国はタミフルを確保しようと相次いでロシュグループと契約を結んだからだ。

日本の厚生労働省は昨年、新型インフルエンザ対策としてタミフル備蓄計画の立案に着手した。だが、同省は「大発生するかしないか分からない感染症の対策に何百億円も予算はつかない」と考えた。備蓄目標二干五百万人分のうち、五百万人分を国と自治体が五年計画で買うことにして、二千万人分は医療機関などの在庫をあてにする計画をまとめた。しかし、世界的に危機感が高まったことから軌道修正。国と自治体で来年度中に二干百万人分を買う新計画を立てたのは今月に入ってからだ。

日本上陸が懸念されているのは新型インフルエンザばかりではない。「成田経由の蚊か、それともシベリア経由の烏か」。国立感染症研究所の小林睦生部長は米国で流行している西ナイル熱の侵入を警戒する。ロシアのシベリアでも二〇〇四年に感染者が見つかり、日本には東と西からウイルスが迫る。西ナイル熱は、ウイルスを持つ烏を刺した蚊が人を刺すと感染する。成田空港検疫所は機内や空港周辺の蚊を捕獲、自治体は野烏の死骸を収集してウイルスをチェックしている。結果は今のところ「シロ」だが、蚊、鳥をすべて調べているわけではない。すでにウイルスが上陸していてもおかしくない。来年、蚊が活動を始めるのと同時に流行することも考えられる。

今年九月。大師公園(川崎市)に、ひしゃくを手にした人が約二十五人現れた。道路の溝にたまった雨水をすくい取る。ボウフラ(蚊の幼虫)の発生状況を調べる実習だ。蚊が媒介役となる感染症の発生・流行を予防する目的で自治体職員らが参加した。

こうした試みはまだ少ない。蚊が関与する代表的な感染症である日本脳炎を抑え込んで以来、蚊への対策に熱心な自治体や蚊に詳しい専門家は減った。米国では積極的な地域の患者数はそうでない地域の十分の一という報告もある。「流行し始める前に対策が必要」と感染研の小林部長は訴える。

世界では熱帯病のマラリアや、年間一億人の患者が出るデング熱、狂犬病なども流行中。国内の大半の医師はこうした病気の患者を診た経験が乏しく、「海外で感染して帰国した患者を治療できない事態になりかねない」と長崎大学熱帯医学研究所の青木克已所長は心配する。デング熱の場合、熱帯特有の病気と考えられていたが、今では台湾でも患者が発生、日本への侵入が危慎されている。

そんな中で、長崎大と国立国際医療センターは第一陣としてベトナムに近く新拠点を設け、若手医師を研修させる予定。だが、派遣するのは年間数人。欧米は十年以上前からアジアに拠点を設け、地道に準備を進めてきた。現地での経験は有事に役立つが、日本の海外拠点づくりが始まったのは今年から。

機敏な対応と長期的な備え。どちらかが欠けただけで、病原体は襲来し被害が拡大する。

(次回は28日付に掲載)

新しく出現する感染症や、いったん収まったのに再び流行する感染症の多くは、人間にも動物にも感染する人獣共通感染症だ。野生動物の持つウイルスがそのまま人に感染したり、ウイルスが人に容易に感染するように「変身」したりして出現すると考えられる。

重症急性呼吸器症候群(SARS)の場合は原因ウイルスがハクビシン、コウモリから人に感染して起きたと疑われている。烏インフルエンザの場合、渡り鳥のウイルスが家きん類でまん延。それが新型インフルエンザウイルスに変身すると予想されている。

過去のものと考えられている感染症が出現する恐れも出ている。日本は現在、世界で数少ない狂犬病未発生国。その安心感からか、「未登録犬(野良犬)も含めると、ワクチンを接種している犬は三〜四割しかいない」(国立感染症研究所の井上智室長)。輸入されて捨てられた野犬から、日本の犬、そして人へと感染が広がることを心配している。

近年の感染症は流行が急速に拡大するのも特徴。飛行機での往来が盛んになったからというのが通説だ。今後、心配なのが地球温暖化。気温上昇で熱帯特有の蚊が日本でも生息できるようになれば、マラリアやデング熱が日本で大流行する危険があると専門家はみている。


ウイルスが、変化している。 

1918年に大流行し約50,000,000人が死亡したとされる「スペイン風邪」のウイルスが、97年以降に東南アジアなどで死者を出している鳥インフルエンザの「H5N1型」ウイルスとよく似た特徴を持っていることがわかりました。 研究に使われたスペイン風邪のウイルスは、大流行時に死亡した患者の肺の標本などから取り出しました。米軍病理研究所のグループは、スペイン風邪ウイルスの8つの遺伝子の塩基配列を解読し、このうち三つの遺伝子を既知のインフルエンザウイルスと比較。その結果、ヒトインフルエンザより鳥インフルエンザによく似ていました。一般に鳥インフルエンザは人への感染力が低く、ブタの体内で人に感染する「新型ウイルス」ができるとされるが、研究グループは、スペイン風邪ウイルスや「H5N1」のようなタイプでは、ブタを介さなくても人への強い感染力を持つ可能性があることがわかりました。

アメリカでは犬インフルエンザ

「新型犬インフルエンザ」が複数の州でレース犬や飼い犬に広まり、問題になっています。感染犬の8割は軽い症状で済み、致死率は推定5−8%。馬で40年以上前から検出されていたが人への感染例の報告はありません。CDCは「過度な心配は必要ない」としているが、危険性はゼロとはいえないため慎重に監視を続けると言っています。発見は昨年1月、ドッグレース場でグレーハウンド22頭に発熱やせきなどの症状が出て、8頭が肺炎などで死んだのがきっかけでした。

なぜ、感染症は増えるのか?

人類は、長い間感染症に悩まされてきました。結核をはじめとして、ペスト、コレラなどが死亡の原因の主であった時代は長く続き、抗生物質の登場により感染症の大部分が克服されました。

抗生物質が細菌を変化させている!

細菌は条件さえ整っていれば、30〜40分程度で2倍に増え、突然変異を起こす確立もかなり高く突然変異により、抗生物質に耐性を持った新型の種類を作り出す能力を多分に備えています。手術後に感染症が続発するため耐性ができた抗生物質をチェックする監視制度もできているくらい現在では細菌が変化しています。

なぜか先進国に多かったO-157!

衛生環境が良いアメリカ・オーストラリア・日本などの先進国を中心に1996年に発生したO-157は、良い衛生環境が逆に人間の免疫力を弱めています。清潔志向が高まり、抗菌作用や抗菌グッズなどの出現で本来、人に必要な菌までもが殺菌されています。他にも大気汚染・食品添加物・ストレスなどが免疫力に大きくかかわっている可能性もあるのです。

人と菌は共存共栄!

人間の体内や自然界において細菌は、間違いなく役に立っています。細菌に対して過剰な反応ばかりしていると、自分自身の細菌に対する抵抗力が落ち感染症を発症してしまう可能性があります。自らの抵抗力・免疫力を高めることを考えることが大切です。

沖縄を襲った「夏のインフルエンザ」

高齢者や幼児にとって、ときに肺炎や脳症を引き起こすインフルエンザ。冬の病気かと思っていたら、この夏、各所で流行している。沖縄でも猛威をふるっている。通常のピークは、正月〜3月で帰省客が感染源と言われている。通常、週10〜15人程度が、6月に入ってから、20人以上出ている。学校の送迎車に1人の患者がいたら、全員に感染したり、今季2度、感染した子もいた。

【岡田晴恵著 田代眞人「鳥インフルエンザの脅威」(河出書房新社)】

突然変異?この夏のインフルエンザ!

インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3つに大きく分けて分類され、毎年流行を繰り返すごとに変異株が出て通常、温度が低く乾燥した冬に、感染を広げるが、熱や湿度の高い夏には弱いとされている。「今回の、A香港型は、自らのアミノ酸配列を変えて、人間の抗体を効かなくする抗原変異をおこしやすく、夏でも感染を広げる場合がある」
      
【久留米大学、加地正朗名誉教授:臨床ウイルス学】

感染経路の変化EBウイルス

(エブスタイン・バーウイルス:ヘルペスウイルスの仲間)

多臓器不全にも陥るEBウイルス

中学生の女の子が週に2・3日に40度を超える高熱が出て、白血球や血小板が減っていく慢性活動性EBウイルスと判明。免疫細胞にEBウイルスが感染して起こる病気で高熱のほか肝臓やひ臓・リンパ節がはれる。ウイルスが感染した細胞が増殖して免疫系が異常に反応して数年内に多臓器不全などに陥る。

【国立成育医療センター膠原病感染症科:小林信一医師】

感染経路が変化してきている!

EBウイルスは成人の9割が感染しているとされている。唾液などに含まれおもに乳幼児期に母親などの食べ物の口移しなどで感染するが、この時期に感染したものは、ほとんどの場合発病しない。しかし時代とともに、市販の離乳食の充実化、仕事を持つ母親が増え接触の機会が減り母子感染が減っている。

危険な思春期以降の感染!

思春期以降に初めて感染すると、半数ほどが伝染性単核球症になる。この時期の感染経路は、キスなどの親密な接触で感染するので「キス病」とも呼ばれ、初期段階では、別の種類の免疫細胞が侵され、疲労や発熱、のどの痛み、リンパ節のはれなどが1〜2週間続きその後慢性活動性EBウイルス感染症になることもあるという。時代の変化と共に感染経路も変わる恐るべしウイルス、B型肝炎もこの感染経路で思春期以降の若者に増えている。

鳥インフルエンザが世界経済を圧迫

SARSよりも影響大

世界銀行は、東アジア地域の経済報告書を発表した。「鳥インフルエンザの衝撃は重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)より大きく、長引く可能性がある」と指摘。200346月期の域内総生産(GDP)の2%に当たる損失が発生したSARSより、鳥インフルエンザの方が深刻な影響を与えかねないと警告した。報告書はベトナムの事例を紹介し、鳥インフルエンザ関連の被害がGDPの0.12%に達するとの見通しを示した。「東アジア地域の経済全体に与える打撃はまだ限定的だが、重大な影響を与える可能性がある」と指摘し、関係国の対策を急ぐよう求めています。

新型インフルエンザで人間同士で感染が拡がると…

鳥インフルエンザが人間に感染する新型のインフルエンザになり感染が拡がると、死亡や病気による労働力の大量損失だけではなく、人々が人ごみを避けようと観光や輸送サービス部門の落込みや養鶏業者らへの所得補償などで財政負担も増大する予想しています。

今冬のインフルエンザ予防策@

インフルエンザは、国民の健康に影響を与えるおそれがある感染症のひとつとして、法律(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)で
「五類感染症」
に定められています。
日本のインフルエンザの発生は、毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の13月頃に患者数が増加、4 5月にかけて減少していくというパターンを示します。インフルエンザウイルスにはABC3型があり、流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。A 型とB型ウイルス粒子表面の糖蛋白が感染防御免疫の標的抗原となっています。とくにA型では、抗原性の異なる亜型が存在し、これらの様々な組み合わせを持つウイルスが、ヒト以外にもブタやトリなどその他の宿主に広く分布しています。このため、人獣共通感染症として動物由来の亜型ウイルスがヒトの世界にも侵入します。

効果に問題あり!インフルエンザワクチン

現行のワクチンは、1つの抗体しか効かないため、日々変化している新型インフルエンザには効果に疑問があり、治療薬もありません。タミフルにも問題があります。ウイルスの感染やインフルエンザの発症を完全には防ぐことは出来ません。ここに現在の対抗策に限界があります。インフルエンザワクチンは、感染や発症そのものを完全には防御できませんが、高齢者(ハイリスク群)の重症化・合併症の発生を予防する効果は証明されており、高齢者に対してワクチンを接種すると、接種しなかった場合に比べて、死亡の危険を5倍に、入院の危険を約2倍〜3倍、減らします。その点では、ワクチンの有効性も期待できますが・・・真のインフルエンザの対抗策は予防しかありません。基本になる自己免疫力と体力に、かかってきます・・・・・。


                            
     

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